大阪旭モラロジービジネスクラブ 第214回例会 開催報告

  令和5年8月19日土曜日19:00より、第214回例会を「キンダ−ホープ 集会室」にて開催しました。

 会場に総数17名のご参加をいただきました。

 お盆休み明けの本当に暑い中を、大勢の方にご参集をいただきまして有難うございました。当日はさすがに猛暑のせいか、出かける間際に少し気分が悪いので欠席しますと連絡があったり、また、お墓参りが早く終わったので出席しますとご連絡いただいたりとかで、最終的には予定通りの参加者数で始めさせていただきました。

 開会に先立ち先ず当クラブ会長の猪谷から、【コロナ禍は未だ完全には終息せず、数日前には台風7号の取り過ぎた直後でもあり、各地では大雨による甚大な被害がありましたこと、心からお見舞い申し上げます。これだけ暑いと勉強というよりは、実は夏休みとしたいところでした。ところが、例会開催に向けた事前打ち合わせ会議でも、とうとう言い出せぬままに、本日の勉強会を開催してしまいました事を、心からお詫び申し上げると共に、ご参加の皆様には厚くお礼申し上げます。】といった挨拶をさせていただきました。

 会長の開会挨拶の後、月刊「三方よし経営」8月号からテーマを選定し、勉強会を進めて参りました。

———

以下のとおりテーマを厳選させていただきました。

 坂本光司氏の【五方良しの経営学⑰ 精神障がい者の働く喜びを作るために医師らが創業した出版社】20P、21Pに掲載、

モラロジー基本精神でもあります【格言に学ぶ職場のモラル】見えない恩に心を向ける、「言外の真理を悟りてこれを行う」27P掲載の2題です。

今回のテーマはいつもより文章が短いのですが、中身をより深く理解していただきたいという思いから、輪読後に補足説明することといたしました。その補足説明は輪読した3人の幹事と中村副会長にお願いし、内容を吟味した補足説明を聞いた後、会員各位から所感の発表をしていただきました。そのため何時もより、中身のあるご意見が伺えたのでは自負しております。

輪読当番は

【患者のために病院を辞めて会社を設立】:福井郁幹事

【精神障がい者が生き生きと楽しく働く会社】:坂本岳之幹事

【社会人大学院生と共に続ける支援】:大住一馬幹事

【格言に学ぶ職場のモラル】:中村副会長

その後、先述のように再度4人の輪読者から補足説明をいただいた後、皆様から貴重なご意見をいただきましたので、その一部をご紹介させていただきます。

◆S様

 国内人口の約7.6%が障がい者(知的・身体・精神)発達の手帳は無いので、発達障がいを加えると、おそらく1割ぐらいと想定出来る。障がい者雇用は身体が中心だったが、今後精神・発達に移行していく過渡期だと言われている。精神・発達の方は優秀だが、問題は「職場定着」1年定着率は50%以下と言う事を考えると、ラグーナ出版で働く方が自信に満ちて楽しそうと言うのは驚き。具体的にどの様な工夫をしているか知りたい。

 私の息子はダウン症で知的障がい者だが、私の会社の特例子会社に勤めて、納税者になって欲しい。また、障がい者が頑張っているから買ってあげようと言うのも嬉しいが、そのクッキーが本当に美味しいから買いたいと思う様な流れになり、会社が存在し続ける事が私の夢です。

◆F様

 精神障がいの保護者の子ども様々な問題を抱えている。まわりの理解が必要で、偏見でみることなく常に寄り添う姿勢が必要かと思っています。米医学部に留学した精神科医から聞いた話ではとして、日本のように抗うつ薬などで抑制より開頭手術で社会参加を促す様子に驚いたと語っていた。そして、総合的にビジネスクラブの例会について『初参加の方もいらっしゃった中自由闊達な雰囲気の例会に感動しました。しかしながらこれは、モラロジーの場が様々な方の意見や思いを受け入れる空気感があってのことです。悩みのない経営者はいないとよくお聞きします。今後もこのモラロジーの会のような社会が形成されるように、一助になるような話し合い、取り組みのできる学びの場の会にしていきたいと強く思いました。昨晩はお疲れ様でございました。』

続いて、別紙資料を用意していただいた

◆O様 (少し長くなりますが)

日本における障がい者雇用の現状と課題について

1. 定義と分類

日本では、身体的、精神的な障がいがあるために日常生活や社会生活に困難を避ける 人々を障がい者として分類し、 障がい者は以下のカテゴリに細分類されることが一般的 です。

• 身体障がい者:身体の一部に障がいがある人々(視覚、聴覚、言語、肢体など) • 知的障がい者: 知的機能の発達に関連する障がいを持つ人々

• 精神障がい者: 精神の健康に関連する障がいを持つ人たち

2. 法整備

日本には、障がい者の雇用を推進するための法として、「障がい者雇用促進法」が整備されており、一定規模以上の事業所に、障がい者の雇用割合を決めるもの。 達成できない企業には罰金が課せられることもあります。

3. 現状

2022年時点で、日本の障がい者の雇用状況は、雇用障がい者数は61万3,958人、対前年差1万6,172.0人増加、対前年比2.7%増加と法的要請を背景に増加傾向にありましたが、まだ十分とは言えない状況も指摘されています。

法定雇用率の達成率については、地域や業種、企業規模によってばらつきが見られ、

特に中小企業での達成率が低い傾向があります。

図1.雇用されている障がい者の数の推移。出典:「令和4年 障がい者雇用状況の集計結果」厚生労働省 p6(外部リンク/PDF) 1

日本においては、就労継続支援制度として、障がいを持つ方が安定して働くためのサポートを提供するための制度を設けています。この制度は、障がい者の雇用機会を増やし、働き続けるためのサポートを提供することを目的としています。

具体的には、「就労継続支援」制度は以下のようなサービスを提供します。

働く場の提供: 障がい者が働ける場所を提供し、適切な環境とサポートを整えます。

職業訓練

障がい者が働くために必要なスキルや知識を身につけるための訓練を提供します。

就労の支援

障がい者が安定して働き続けられるように、勤務時間の調整や業務内容の適切な設定など、個々のニーズに合わせたサポートを行います。

相談・ケアの提供

障がい者が職場で不思議な悩みや困難に対する相談やケアを提供します。

国が支援する制度として代表的なものには、以下の4種類があります。

1. 就労移行支援事業:一般事業所への就職の斡旋などを行う事業

2. 就労継続支援A型事業(下表にて解説)

3. 就労継続支援B型事業(下表にて解説)

4. 就労定着支援事業:一般就労を前提として就労先での定着サポートをする。

A型とB型いずれも「一般就労では受けられないトレーニング」の色合いが濃い。 A型とB型の大きな違いは、A型が「雇用契約」を前提(最低賃金が支払われる)と しているのに対し、B型にはその縛りがない。

2021年のB型の工賃は平均で月に1万6,507円であり、厳密な雇用契約はないため出勤日数や勤務時間は柔軟であり、それに応じた工賃が支払われるが、時給にすれば数百円にしかならないというのが現実である。

「就労継続支援」制度を利用するためには、障がい者手帳や適切な診断書が必要とな ります。また、地域や施設によってサポートの内容や解決が異なるため、利用を希望する場合は、少しの支援機関に相談することが推奨されます。

2 課題1 雇用の「数」の不足

 一定の法定雇用率は確保されているもの、障がい者全体の就労希望者に対する雇用機会はまだ不足しています。

障がい者の中でも、重度の障がいを持つ人の仕事が特に困難であるとの指摘もあります。

課題2 雇用の「質」の不足

 障がい者が雇用されている場合において、雇用する企業から見て福祉的なものであること、キャリアアップの機会が欠如していること、賃金が低いことなど、質的な課題が多く指摘されています。

課題解決に向けて・・・

1.啓発活動(社会の認識の変革)

 障がい者の能力や潜在的な可能性を知ってもらうためのキャンペーンやイベントを企画・実施している。障がい者の成功事例の発信や メディアやSNSで子育て、障がい者が 成功を収めた事例やストーリーを広めることで、先入観をなくす助けとする。

 難聴や視覚障がい者など、障がいの種類や程度に応じた教育・研修制度を整備し支援が可能な専門家を増やす。各障がいに応じたサポートツールやソフトウェア等の支援ツールを提供・普及させる必要があります。

2.雇用の継続性の確保

障がい者雇用のフォローアップ体制の構築:定期的な面談やアンケート、障がい者の雇用状況や満足度を確認し、問題点や改善点を洗い出す。

障がい者雇用担当者の配置: 企業内に障がい者雇用を担当する配置や担当者を設け、障がい者の悩みや要望を受け入れ、企業内での改善策を検討する。

障がい者雇用の課題解決は、一つの企業や組織だけの努力で実現するものではありま

せん。社会全体の理解と協力、そして具体的な取り組みや制度の整備が必要です。

3.雇用の質の向上

 研修・教育の充実:障がい者の能力やスキルを向上させるための研修や教育を実施する。企業内でのメンターシップや外部機関との連携、キャリアアップの支援を行う。公平な評価: 障がいの本人に関係なく、業績や能力に基づく評価・報酬制度を導入し、障がい者でも同じ機会を得られるように。

◆S様

 2015年から5年の間にGDP比1.08%から1.23%に増えている障がいその他費用ですが、障がい者の子供が通う多様な学びの場においては、少人数の学級編制、特別の教育課程等による適切な指導及び支援を実施しているとのこと。特別支援学校の小学部及び中学部では1学級の児童生徒の数の基準は6人、高等部では1学級の生徒の数の基準は8人の教員の配置を行っています。仮に教員の数は十分に配置されているとしても、教員その人は専門的に精神または身体などの教育を受けた人てもなく、子供たちは身体障がいなのか知的、心的障がいなのかの細やかなクラス分けがされているとは言えないように思えるのです。障がい者にそれほど接した体験があるわけではないですが、ある人は人懐っこく人と話をすることが非常に好きだけど吃音で話ができない青年は手話もしながら大勢の仲間と菓子を作ったりしていました。また中学自体の友人に小児麻痺から足が不自由でも器械体操部の部長を引き受けてくれたしっかり者がいました。しかし、精神的に自己否定から社会から遠ざかっていくある子は、心療内科を受け続けても先生と心が通じ合わなければひどくなっていくばかりでした。私の勧めた大検を受けて資格は取ったのですが、人に会うのを嫌がりました。反対に勧めた大検によって変われた人もいます。こんなにも多様な障がいの形があるにもかかわらず学校側とPTAとの問題意識に違いがある場合も解決されないままでていってしまう。少しでも学生が学校生活を楽しいと感じれるようなきめ細やかな教育体制を作ってほしい。箱物行政から脱却できないのは知恵や意欲のなさなのか品格のなさなのか。

〇最後に格言に学ぶ職場のモラルの感想を

見えない恩に心を向けるから

◆N様

 「恩送り」という言葉について、誰かから受けた恩を、直接その人に返す代わりに次の誰かに渡していくといったお話で、恩に感謝し、恩に報いる—それは私たちが自分の人生をしかりと歩んでいく上でも大切な心掛けであるといった内容を分かり易く、例話交えて話していただきました。

 他にもご紹介したい皆様からの貴重なお話がたくさんございましたが紙面の関係でこの辺とさせていただきます。ありがとうございました。

引き続き、次回9月16日(土)の例会と10月14日に予定しています第216回例会を講演会とさせていただく旨のご案内をさせていただきました。大変有意義な時間であっという間に過ぎてしまいました。

 最後に大阪旭モラロジー事務所の木野稔世話人代表から閉会挨拶をいただきました。「今日も大変有意義な勉強会でした。皆様も本日の学びを日々の生活に生かせていただきたい。」と締めていただき、例会を無事終了いたしました。

ご参加いただきました皆様方には、心からお礼申し上げます。

以上を持ちまして、第214回例会の開催ご報告とさせていただきます。

猪谷勇三拝